KOBA's Classroom ~from the Warm Heart of Africa~

アフリカのマラウィ共和国で活動する、青年海外協力隊 理科教育隊員の活動記録 

Koba's Classroom vol.4~マラウィの教育事情(経済編)~

マラウィへ来て早くも3ヶ月が経ちました

気づけば10月、マラウィはまだ暑いからでしょうか(日中約34度)まだ8月の気分です。

 

生徒たちの距離も徐々に縮まってきたようで、キャンパスを歩いているとよく挨拶をしてくれます。

3年生、4年生達は私の前任の方に数学を教わっていて、日本語も単語レベルで知っています。

 

「Konnnichiwa!!」

「Ohayo-!!」

 

から始まり

 

「Niwatori!!」

「Hanakuso!!」

 

前任の方の影響力は大きいものだったようです。

 

 

学校が始まり週14コマ授業をしています。

まだ慣れないせいか、週の終わりにはかなり疲労感がありますが、同時にかなりの充実感もあります。

ずっと憧れてた海外で、ずっと憧れてた教師が出来てるんだなと思うたびに、勝手に一人、人生に満足しています。笑

 

同僚の先生方はみな良い方で、最近の職員室はは日本語での挨拶が流行っています。

「Ohayougozaimasu!」と声をかけてもらえると、なんだか嬉しい気持ちになります。

 

 

さて今回は、マラウィの教育事情(経済編)をお送りしたいと思います。

学校が始まって1ヶ月、日本との差に驚いてばかりでした。

 

その前に、マラウィの学校の制度について簡単に説明します。

マラウィでは、Primary school 8年、Secondary school 4年、University 4年の8-4-4システムで教育を行っています(日本は6-3-3-4)

Primaryを出た生徒は、全国統一テストを受け、その結果の良い生徒からNational Secondary, Boarding Secondary, Community Day Secondary(CDSS)に割り振られます。

 

National Secondaryはこの国に4つしかなく、本当のトップ層の子達が通うことができます。大学進学率は7割だとか。

 

Boarding SecondaryはNational Secondaryに入れなかった子達が通います。このタイプの学校はそこまで数が多くない様で入っている生徒は「優秀」といわれます。大学進学率は3%あればかなりいい方です。僕の勤めるBalaka Secondary Schoolはこのタイプの学校です。

 

Community Day Secondary(CDSS)はBoarding Secondaryには入れなかった子達が通います。

生徒数が多いので、午前の部と午後の部に分かれています。大学に受かる子はほっとんどいないそうです。

 

そんなマラウィで、驚いた5つのこと(経済編)

 

1、理科室の蛇口、水道が壊れていて水が出ない

「科学は現場で起こっている」っていうのが僕なりの授業ポリシーで、なるだけ実物に触れてもらいながら授業をしています。

となると、頻繁に理科室を利用する事になるわけですが、水道から水が出ない、、

これは結構致命的で、実験器具をさわった生徒たちに手を洗わせるのにも一苦労です。しかたなく、毎回水をタンクに汲んできて手を洗わせてます。

 

「直せばいいじゃん」と思われるかもしれませんが、そのお金が学校にはない様です。

 

「経済力の無さ」はこの国の抱える大きな問題なのだと日々感じています。

 

 

2、実験器具が壊れている、ない

実験器具は基本輸入品なのでとても高価です。

日本で1000円するものは、マラウィにとってはびっくりするくらい高いのでしょう。

マラウィで買う500mlの水は20円、キャベツ1玉10円、ウオッチマンが12時間働いてもらえるお給料150円

3つあるアルコールランプはすべて壊れており、蒸発皿は2つだけしかありません。

 

無理やり、先進国が行っているような教育の「型」にはめようとしてしてうまくいってない気がします。

それでも、この国が今の先進国が満喫している「良い生活」を味わうためには必要な道なのかもしれません。

 

ちなみに、資源のないこの国では、燃料を買い取って行う火力発電はほとんど行われておらず、9割が水力発電です。

水力発電で賄いきれる電力はたがかしれているせいか、最近は毎日12時間以上停電してます(今も部屋真っ暗)

乾季の終わりで川の水も十分にないからでしょうか

 

 

3、椅子、机が足りない

 

そんなこの学校でも、椅子も机も生徒の数だけないから1つの机に2人が仲良く座ってるってのは普通です。

彼らは特に苦にしてる様子はないのですが、、笑

 

生徒が平気で授業に遅れてくることも、先生が平気で職員会議や授業に遅れてくることも、机をシェアしたり、ボロボロになった机で勉強したりしているこの「無秩序」からきているんじゃないかと感じています。

 

また小学校では教室まで足りなく、青空教室の学年もあるそうです。

1994年から、マラウィでは小学校が無償化されました。

それを期に、小学校の生徒数は急増。1クラス120人~200人の生徒達。とてもコントロールできず、先生は諦めて帰るのだとか。

 

教育の質が良いといわれる日本の秋田県では、クラスを30人の少人数制にすることで教育の質を上げているそうです。

その4倍の120人では、先生の目も行き届かないでしょうね、、

 

4、生徒がアクセスできる情報量が少ない

マラウィの学校にも図書館はあります。しかし、そこにあるのは教科書が9割で、残りの1割は古い洋書が多少ある程度です。

教育にお金を回せない政府は、生徒一人一人に教科書を配ることができず、年に科目ごと10冊程度の教科書が学校に送っているだけの様です。

CDSSでは、教科書すら毎年は遅れられないんだとか。

 

パソコン室なんて高価なものは存在せず、生徒はスマートフォンを持っていません。

 

生徒達は、今のアメリカの大統領選挙のことなんてもちろん知らないだろうし、ステーブジョブズがだれなのか、9.11がなんなのかも知りません。

 

将来のことを考えるにも、この情報量ですから、夢が膨らむとも思えません(だからこその、Special Open School企画です。外部からスピーカーを呼んで生徒と交流してもらうこの企画は、日本にも必要だと思っています)

 

 

5、生徒が始業式に来ない

入学金が用意できないからです。(単に来たくないだけの生徒もいますが笑)

8割が農民のこの国では、就職している人は少ない様です。

自分で育てた野菜を売る、服を売る、自転車タクシーをするなど、各々仕事を作ってはいますが、まとまったお金にはならないだろうし

学費を賄うにはかなり苦労が必要だと思います(僕のウォッチマンは100円がないから給料を前借りさせてくれと頼んできてびっくりしました)

 

 

 

「経済力の無さ」が悪い事だとは思いません。

ただ、ここにきて人々は、僕が思っていた以上にお金を欲しがっています。

目の前に美味しそうなご飯や飲み物があったら食べたいし、子供を学校に通わせたいし、去年が不作だったから食料を買いたいし、携帯で友達と電話もしたいし

僕がマラウィの中でも栄えた町にいるからでしょうか、贅沢を目で見ている人にとって、それは憧れになるのは自然な話です。

子供にいい人生を歩ませたい、美味しいものが欲しい、空腹は嫌

そんな願いもお金は叶えてくれます。

 

発展途上国の経済力を上げ、先進国並みの生活ができるようにすることが国際協力なのか?

世界は、平等な経済力であるべきなのか?

そもそも、先進国は途上国に比べてやはり幸せなのか?

 

そんなことを考えながら、日々を送っています

 

とりあえずは、目の前の生徒達の未来が広がるように活動を続けるだけ。

この学校の「無秩序」を秩序だったものに変えていかないと、学力の向上もない様に感じます。

無秩序な月曜集会を、秩序立てることを試みようかなと思ってます。

 

今週末はSpecial Open School第二弾!!

楽しんでいこうと思います!!

〜写真〜

 

理科準備室。衝撃の荒れ具合

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